そもそも私が婚外を始めて理由。
結婚して何年も経つ。
生活は安定しているし、夫は悪い人じゃない。
家族としては問題ない。だけど、女として見られていない時間が、気づけば何年も続いていた。
触れられない夜が当たり前になって、「今日はどう?」と聞くことすら諦めるようになった自分に、ある日ふとゾッとした。
セックスレスがつらかったのは、欲求不満だからだけじゃない。
求められないことが、こんなにも自分を空っぽにするなんて思わなかった。
鏡に映る自分が、ただの“母親”や“妻”に見えて、女としての私はどこに置いてきたんだろうと考える夜が増えた。
婚外を始めた理由は、刺激が欲しかったからでも、家庭を壊したかったからでもない。
ただ「まだ女でいていい」と誰かに肯定してほしかった。
それだけだった。久しぶりに名前を呼ばれて、目を見て話を聞いてもらって笑っただけで胸が熱くなった自分に驚いた。
罪悪感がないわけじゃない。後ろめたさもあるし、いつか終わりが来ることも分かっている。
でも、何も感じないまま日々をやり過ごすより、「生きてる」と実感できる時間を持ちたかった。
婚外は逃げだと言われるかもしれない。
それでも今の私には、心を保つための呼吸みたいなもの。家庭を守りながら、壊れそうな自分も守りたかった。
今日も何事もなかった顔で夕飯を作る。
でも、心の奥で小さく灯っているこの感情を、私はもう見ないふりはできない。
